東野圭吾 著 『時生』って どんな本?

東野圭吾『時生』 小説

『時生』(トキオ)は、東野圭吾によるSFファンタジー小説。2002年に『トキオ』の題名で講談社から刊行され、2005年に文庫化された際に改題された。親子の愛や生きることの意味をテーマに描いた感動的な物語で、多くの読者から支持を集める東野圭吾の代表作の一つである。

物語は、主人公・宮本拓実が、不治の病に苦しむ息子・時生の最期を見守る中で、20年以上前の出来事を回想するところから始まる。1970年代、どうしようもない若者だった拓実は、突然現れた「トキオ」と名乗る不思議な少年と出会う。トキオの助けを借りて、拓実は理由も告げずに去った恋人・千鶴の行方を追い始める。

物語を通じて、拓実は様々な人々との交流や困難な出来事を経験し、自らの過去や人生と向き合いながら成長していく。日本坂トンネル火災事故やKDD事件といった実際の出来事を背景に、過去と現在、そして未来が巧妙に交錯する中、物語は親子の絆と希望を浮き彫りにしていく。

予想外の真実と感動的な結末が待ち受ける『時生』は、時空を超えた愛と再生を描いた東野圭吾の傑作である。

東野圭吾『時生』

『時生』

(講談社文庫)

2002年 7月 発売

宮本拓実は、息子・時生が不治の病で最期の時を迎える病室にいた。時生が生まれながらに患っていたグレゴリウス症候群は、母・麗子が遺伝子のキャリアであるために50%の確率で遺伝すると知られていたが、それでも二人は時生を生む選択をした。しかし、病気は彼の体を蝕み、高校生の頃には歩行も困難となり、成人することもなく死を迎えようとしていた。拓実は、麗子が「時生は幸せだったのか」と涙ながらに語る中で、ある過去の出来事を思い出す。

20年以上前、どうしようもない生活を送っていた若い頃の拓実。日雇い仕事を転々とし、恋人の千鶴から金を借りてはその日暮らしを続けていた彼は、自分の境遇を母に捨てられたことのせいだと考えていた。そんなある日、「トキオ」と名乗る謎の青年が現れる。トキオは、拓実をよく知っている様子で「親戚にあたる者」と説明し、自然に拓実の生活に溶け込んでいった。

その頃、千鶴が突然姿を消す。部屋には拓実への別れを告げる手紙が残されていたが、納得のいかない拓実は千鶴を探し始める。さらに、「イシハラ」や「タカクラ」と名乗る不気味な男たちが現れ、千鶴を追い回していることを知る。千鶴が何かの事件に巻き込まれたと確信した拓実は、トキオと共に彼女を探す旅に出る。

トキオと行動を共にする中で、拓実は自身の出生にまつわる秘密に気付いていく。彼が捨てられたと思い込んでいた母の本当の思いや、父の存在、そしてトキオがなぜ彼の前に現れたのか。過去と現在が交錯する中で、拓実は家族の愛や人間としての成長、そして生きることの意味に向き合っていく。

拓実と千鶴、そしてトキオが織りなす不思議な物語の中、彼は過去を見つめ直し、新たな希望を見出していく。果たしてトキオの正体は?千鶴はなぜ姿を消したのか?すべてが明らかになる時、拓実が知る真実とは。

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