東野圭吾 著 『素敵な日本人』って どんな本?

東野圭吾『素敵な日本人』 小説

『素敵な日本人』は、東野圭吾による短編集で、日本の四季折々の風物詩や行事をテーマにしたユニークな物語と、奇抜な発想で展開されるミステリーが融合した9編から成る作品集です。読者をぐっと引き込む巧みな語り口で描かれる各作品には、家族愛、恋愛、友情、そしてちょっとした謎解きが絡み合い、東野圭吾の多彩な作風が堪能できます。

春夏秋冬の行事を題材にした物語には、親子や恋人同士の絆をテーマにした心温まる話が展開され、一方で、斬新なアイデアが光る異色のミステリーも収録されています。例えば、「今夜は一人で雛祭り」では、雛人形を通して亡き妻の意外な一面が明らかになり、「レンタルベビー」では赤ちゃん型ロボットが引き起こす感動と驚きが描かれます。また、「サファイアの奇跡」では希少な青色の猫が織りなす奇跡の物語、「壊れた時計」では犯罪現場に残された壊れた腕時計が生む意外な展開が描かれています。

日常の中に潜む非日常を鋭く切り取った本作は、温かい人間ドラマとスリリングな謎解きの絶妙なバランスが楽しめる一冊です。

東野圭吾『素敵な日本人』

『素敵な日本人』

(光文社文庫)

2017年 3月 発売

【正月の決意】

初詣に訪れた夫婦が、賽銭箱の前で倒れている町長を発見します。警察が調査に乗り出すも、正月気分でどこか頼りない様子。事件は意外な結末を迎え、それを機に夫婦は新たな決意を胸に日常に戻ることにします。


【10年目のバレンタインデー】

作家の峰岸は、10年前に突然別れを告げられた元恋人の知里子からの連絡に胸を躍らせます。しかし、再会の場で語られた内容は、彼にとって予想もしなかったものでした。


【今夜は一人で雛祭り】

娘の結婚相手に不安を抱く父・三郎は、娘から「母の雛人形を見れば安心できる」と告げられます。その言葉に秘められた意味とは?


【君の瞳に乾杯】

アニメ好きの内村は、合コンで知り合った女性・モモカと意気投合しますが、カラーコンタクトを外した彼女の素顔に驚きを隠せません。


【レンタルベビー】

独り身のエリーは、疑似育児体験のため赤ちゃんロボットをレンタルします。当初は戸惑いながらも、徐々に母性が芽生えるエリー。しかし、レンタル期間の終了が近づく中、思いもよらない感情が生まれます。


【壊れた時計】

盗みの依頼を受けた男は、現場で偶然にも住人を殺害してしまいます。彼が残した唯一の手がかり、壊れた腕時計が事件の行方を左右します。


【サファイアの奇跡】

裕福でない家庭に育つ未玖が出会った青い猫。やがてその猫は未玖の人生を大きく変える奇跡を起こします。


【クリスマスミステリ】

劇団の看板俳優となった黒須は、邪魔になった脚本家の弥生を毒殺しようと企てます。しかし、計画は思いもよらない方向へ進展します。


【水晶の数珠】

父の反対を押し切りハリウッドを目指していた直樹は、父の余命を知り帰国します。葬儀で受け取った「過去に戻れる」という水晶の数珠が、父との絆と真実を明らかにします。

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