東野圭吾　著　『使命と魂のリミット』って　どんな本？

『使命と魂のリミット』とは

『使命と魂のリミット』は、東野圭吾による長編医療サスペンス小説です。2004年12月から2005年11月まで『週刊新潮』に連載され、2006年12月に単行本が新潮社から刊行されました。2010年には角川文庫版も発売され、2011年にはNHK『土曜ドラマスペシャル』枠でテレビドラマ化されています。

物語は、帝都大学病院の心臓血管外科で研修医として働く氷室夕紀を主人公に展開されます。夕紀は中学生の頃、動脈瘤の手術中に父を失い、その死の真相を探るために医師を志しました。しかし、彼女には心の奥に秘めた恐ろしい疑念がありました。それは、父の手術を担当した心臓外科の権威・西園教授が意図的に医療ミスを犯したのではないかというものでした。

そんな中、病院に「すべての医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」と書かれた脅迫状が届きます。この脅迫状をきっかけに病院内外でさまざまな問題が表面化し、やがて病院全体が危機に陥ります。夕紀は父の死の真相と脅迫犯の目的を探りながら、人の使命と信念、そして憎しみが交錯する複雑な事件に立ち向かっていきます。医療と人間ドラマが絡み合う中、事件の真相と隠された過去が明らかになるサスペンス作品です。

『使命と魂のリミット』の　あらすじ

中学生の頃、氷室夕紀は心臓動脈瘤の手術中に父・健介を失いました。その手術を執刀したのは帝都大学病院の心臓血管外科の権威・西園教授でした。父の死をきっかけに医師を目指した夕紀は、研修医として西園のもとで働き始めます。しかし、夕紀には心の奥に秘めた恐ろしい疑念がありました。父の手術は意図的に失敗させられたのではないかという考えです。父が生前、警察官として西園の息子を事故で死なせていたことを知り、その疑念はさらに深まりました。

そんな中、病院に脅迫状が届きます。「すべての医療ミスを公表し、謝罪せよ。さもなければ病院を破壊する」という内容でした。当初、いたずらだと考えられていましたが、やがて発煙騒ぎが起こり、脅迫が現実の脅威であることが明らかになります。患者たちは転院を余儀なくされ、病院全体が混乱に陥ります。

夕紀は脅迫状の内容と父の死の真相が関係しているのではないかと感じ、真相究明に乗り出します。調査を進める中で、父の手術には確かに隠された事実があり、西園にもまた重大な秘密があることが明らかになります。事件の裏に隠された驚愕の計画と、病院を揺るがす危機に夕紀はどう立ち向かうのか。そして彼女は父の死の真相にたどり着くことができるのか…。