『さまよう刃』とは
『さまよう刃』は、東野圭吾の長編小説で、少年犯罪をテーマにした社会派ミステリー。父親である長峰重樹が娘を殺された悲劇から復讐の鬼と化す姿を描いています。
2004年に刊行された本作は、『週刊朝日』に連載されていた作品で、150万部を超えるベストセラーとなりました。2009年には寺尾聰主演で映画化され、2021年には竹野内豊主演でテレビドラマ化されました。物語は、被害者家族の苦悩と怒りを中心に展開し、法と正義のあり方を鋭く問いかけます。
娘の死をきっかけに復讐へと突き進む父親と、それを追う警察、さらに世論を巻き込んで揺れる「少年法」の問題。物語は、正義とは何か、罪とはどう裁かれるべきなのかという重いテーマを提示しながら、息詰まる展開で読者を圧倒します。
『さまよう刃』の あらすじ
長峰重樹の一人娘・絵摩は、友人と花火大会に行った夜に失踪。その数日後、絵摩の遺体が荒川で発見されます。警察は未成年の少年グループが関与した可能性を示唆しますが、具体的な情報を公開しません。
そんな中、長峰の元に謎の密告電話が入り、犯人の名前と居場所が告げられます。娘を蹂躙した犯人への激しい怒りと悲しみから、長峰は警察に頼らず自らの手で復讐を決意。密告情報をもとに犯人の一人が住むアパートに侵入した彼は、ビデオテープに映る絵摩の悲惨な姿を目の当たりにし、激情の末に犯人を殺害します。
その後、長峰はもう一人の犯人を追って長野へ向かいます。一方で、警察は彼の動きを追いながら、法と正義の間で苦悩を抱えます。長峰が送った自首を予告する手紙は、世論に大きな波紋を広げ、「少年法」に対する批判が巻き起こる中、物語は予想外の結末へと進んでいきます。
正義とは何か。法が裁ききれない犯罪に対して、被害者家族はどのように救われるのか。東野圭吾が挑んだ重厚なテーマが、読者の心に深く突き刺さります。
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