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東野圭吾 著 『黒笑小説』って どんな本? 笑小説シリーズ3作目!

東野圭吾『黒笑小説』 小説
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『黒笑小説』(こくしょうしょうせつ)は、東野圭吾によるユーモア短編小説集で、作家としての鋭い観察眼を活かして描かれたブラックユーモア満載の作品群です。

2005年に集英社から単行本として刊行され、2008年には文庫版が発行されました。

本作は『笑小説』シリーズの第3弾にあたり、文庫版では収録順が変更され、奥田英朗による解説が追加されています。

13編から成るこの短編集は、作家たちの苦悩、出版業界の裏事情、社会風刺、そして人間の欲望や妄想に焦点を当てています。

ブラックユーモアを基調としつつも、東野圭吾ならではの緻密なプロットと人間心理の洞察が光る内容です。

物語のジャンルは幅広く、文学賞を狙う作家の心情や、科学の発展が引き起こす奇妙な事態、そしてありふれた日常の中に潜む異常性が描かれています。

ユーモアに包まれた深い洞察が読み手の心に刺さる、独特な魅力を持つ一冊です。

東野圭吾『黒笑小説』

『黒笑小説』

(集英社文庫)

2005年 4月 発売

もうひとつの助走

文学賞を待ちわびる小説家と編集者の姿を描く物語。

外では「賞が欲しくて小説を書いているわけではない」と格好をつける小説家も、内心では受賞を渇望。

編集者たちも「信じている」と口では言うが、内心は半ば諦めています。

選考結果を待つレストラン・バーで繰り広げられる人間模様が、黒い笑いを誘います。


線香花火

新人賞を受賞した熱海圭介が、プロ作家としての未来に胸を膨らませます。

しかし、出版社や周囲の人々が彼に対して抱く現実的な評価とは…。

新人賞受賞者の厳しい現実を皮肉たっぷりに描きます。


過去の人

昨年の新人賞受賞者・熱海圭介は、自分が先輩作家として新人を指導する立場にあると考えています。

しかし、出版社や業界の期待は新人賞作家の中でも大きく異なり、熱海が思う自分の価値と現実とのギャップが明らかになっていきます。


選考会

ベテラン作家・寒川が新人賞の選考委員に選ばれ、喜びます。

しかし、選考委員としての立場を楽しむ寒川の裏で、出版社には黒い思惑が潜んでいます。

選ばれる側から選ぶ側へと変わった作家たちが繰り広げる、出版業界の裏事情が明かされます。


巨乳妄想症候群

突然、目に映るもの全てが巨乳に見えるようになった主人公。

友人の精神科医に助けを求めるものの、症状は悪化。

日常生活に支障をきたしながらも、どこか幸せそうな主人公がたどる結末とは?


インポグラ

偶然発明された「インポテンツになる薬」のビジネスチャンスを模索する広告プランナー。

やがてその薬は大ヒット商品となるが、予想外の事態が発生します。

ユニークな発想が生む笑いと社会風刺が際立つ一編です。


みえすぎ

超能力によって、肉眼では見えない微細な粒子が見えるようになった主人公。

その能力がもたらす日常の変化と、その中で感じる孤独をユーモラスに描きます。


モテモテスプレー

全くモテない男が手に入れた「モテモテスプレー」。

その効果で夢のような日々を過ごす主人公でしたが、次第にスプレーの真の効果と裏に潜む陰謀に気付きます。


シンデレラ白夜行

シンデレラの物語を東野圭吾がブラックな視点で描き直した異色作。

華やかな物語の裏に隠された、ダークな真実が浮かび上がります。


ストーカー入門

突然別れを切り出した恋人の要求で、ストーカー行為を始める羽目になった主人公。

普通の人間がストーカーに成り下がる過程をコミカルに描きます。


臨界家族

アニメキャラクターのグッズを求める娘に翻弄される父親。

子供の欲望と親の葛藤を描きながら、家庭内の微妙なバランスをユーモアたっぷりに描写します。


笑わない男

笑顔を一切見せないホテルのボーイを笑わせようと奮闘する売れないお笑い芸人の物語。

二人が繰り出すギャグと最後に訪れる意外な結末が見どころです。


奇跡の一枚

普段は冴えない容姿の女性が、旅行中に偶然撮れた一枚の写真でアイドル並の美貌を手に入れます。

その写真が生む混乱と喜びを描く、軽妙な短編です。

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