東野圭吾 著 『祈りの幕が下りる時』って どんな本? 加賀恭一郎シリーズ 10作目!

東野圭吾『祈りの幕が下りる時』 小説

『祈りの幕が下りる時』(いのりのまくがおりるとき)は、東野圭吾による長編推理小説で、加賀恭一郎シリーズの第10作です。2013年9月13日に講談社から単行本が刊行され、2016年には文庫版も発売されました。また、2018年には阿部寛主演で映画化されています。

この作品は、シリーズを通して語られてきた加賀の母親の失踪に関する謎が初めて明かされる重要な物語であり、加賀恭一郎の人生における大きな転機を描いています。加賀の母親が失踪した理由や、彼が日本橋署に留まり続ける背景、さらには彼の私生活に関する謎が、今回の殺人事件を通して徐々に解き明かされていきます。また、物語の中で東日本大震災後の社会問題や、原発作業員の労働環境といった時事的なテーマにも触れられており、社会派ミステリーとしても高く評価されています。

本作は、発売前にあらすじなどの情報を一切公開しないという販売戦略が取られ、初版部数は20万部を記録。刊行後、吉川英治文学賞を受賞するなど、数々の賞を受賞しました。

東野圭吾『祈りの幕が下りる時』

『祈りの幕が下りる時』

(講談社文庫)

2013年 9月 発売

東京都葛飾区小菅のアパートで、滋賀県在住の押谷道子の遺体が発見される。この事件の捜査を担当するのは、警視庁捜査一課の松宮刑事だった。道子は学生時代の同級生である演出家・浅居博美に会うために上京していたが、その矢先に殺害される。松宮は道子が滞在していたアパートの住人である越川睦夫を追うが、越川は既に姿を消していた。

捜査が難航する中、松宮は同日に新小岩で発生したホームレス焼死事件との関連を疑う。この焼死体こそが越川睦夫であることが判明し、二つの事件は繋がっていた。しかし、アパートで見つかったカレンダーには日本橋を囲む12の橋の名前が書き込まれており、それが加賀恭一郎の母親の遺品にあったメモと一致していたことから、事件は思わぬ方向へ進む。

加賀刑事は、自身の過去と向き合いながら事件の真相を探る。彼の母親がなぜ失踪したのか、そしてその行方が分かった時には既に亡くなっていたという真実に、12の橋がどのように関わっているのかが解き明かされていく。さらには、浅居博美や押谷道子、越川睦夫といった登場人物たちの隠された過去や、それぞれの運命が繋がっていく様子が描かれます。

加賀恭一郎シリーズの集大成ともいえる本作は、彼の家族に関わる秘密が明らかになると同時に、登場人物たちの哀しい運命と、それでもなお前を向こうとする人間の祈りが描かれています。

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