『幻夜』とは
『幻夜』(げんや)は、東野圭吾による長編推理小説。集英社「週刊プレイボーイ」に2001年から2003年まで連載され、加筆修正を経て2004年に単行本として刊行されました。2007年には文庫版が発売され、2010年にはWOWOWのドラマW枠で連続ドラマ化されています。
本作は、東野圭吾のベストセラー作品『白夜行』の姉妹作と位置づけられ、阪神・淡路大震災という未曾有の天災を背景に、人間の深層心理や欲望を描き出しています。震災の混乱の中で偶然出会った男と女が、それぞれの秘密を抱えながら東京で野心を実現しようとする物語。愛と憎悪、欲望と罪の物語が絡み合い、やがて意外な結末へと収束します。
第131回直木賞にノミネートされ、発行部数は100万部を突破するなど、読者から高い評価を受けた一作です。
『幻夜』の あらすじ
1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生。水原雅也は父の通夜が行われた翌朝、叔父の米倉敏郎を殺害してしまいます。父の工場経営失敗による借金返済を迫られた雅也は、震災の混乱に乗じて犯行に及びました。その場を見ていたのは、新海美冬という謎めいた女性。美冬もまた震災で両親を失い、途方に暮れていたのです。
美冬は雅也の秘密を握りながらも、それを利用して共に東京で新たな生活を始めようと提案。二人は互いに助け合いながらも、次第に危険な犯罪へと手を染めていきます。美冬はその美貌と冷酷な判断力を武器に、社会の頂点を目指してのし上がっていきますが、雅也は彼女への愛と疑念の狭間で苦悩することに。
やがて、刑事・加藤亘が二人を追い始めます。震災から始まった一連の事件に潜む真実、そして美冬の正体とは何なのか。物語は、彼らの運命が交錯する衝撃のクライマックスへと進んでいきます。
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