東野圭吾 著 『探偵俱楽部』って どんな本?

東野圭吾『探偵俱楽部』 小説

『探偵倶楽部』は、東野圭吾による短編推理小説集で、VIP専用の会員制調査機関を舞台にした作品集。初刊は1990年、祥伝社ノン・ノベルより『依頼人の娘』というタイトルで刊行され、文庫化の際に『探偵倶楽部』に改題。2005年には角川文庫版が再版された。

本作では、日本人離れした彫りの深い顔立ちを持つ30代半ばの男性探偵と、彼の助手を務める20代後半の美しい女性が登場。この2人は「探偵倶楽部」の中心人物として、富裕層から寄せられる難解な事件の調査に臨む。依頼人のプライバシーを厳守しながら、冷静かつ迅速に事件を解決に導くその手腕は秀逸で、依頼人たちからも信頼を得ている。

一方で、探偵と助手の正体は物語の最後まで明かされず、ミステリアスな雰囲気が全編を通じて漂う。彼らが携わる事件は、人間の欲望や悲哀を浮き彫りにしながら、驚きの真相へと読者を導く。華麗なトリックと緻密な伏線が散りばめられた、東野圭吾ならではの本格推理が堪能できる一冊である。

東野圭吾『探偵俱楽部』

『探偵俱楽部』

(角川文庫)

1990年 5月 発売

高級会員制の秘密調査機関「探偵倶楽部」には、凄腕の探偵・二階堂匠が在籍し、彼の補佐を務めるのは優れた記憶力を持つ助手・漆原こずえ。探偵倶楽部は、その特異な調査能力を駆使して、一般には知られることのない事件を解決していく。以下は、探偵倶楽部が関わった5つの事件の物語である。


第1篇:偽装の夜
大手スーパーマーケットチェーン「マサキ・テクノロジー」の創業者である正木藤次郎の喜寿を祝うパーティーが開かれる。しかし、パーティーの最中、別居中の妻が離婚届を持って現れ、場が険悪な雰囲気に包まれる。その夜、藤次郎は自室で首を吊って自殺するが、彼の死はその場に居合わせた3人によって偽装される。しかし翌朝、藤次郎の遺体が忽然と姿を消していた。困惑した藤次郎の長女・涼子は「探偵倶楽部」に調査を依頼する。


第2篇:罠の中
資産家である山上孝三が自宅の浴室で感電死する。警察は家政婦による計画的犯行と断定したが、孝三の妻・道代は納得できず、夫の死因に疑問を抱く。彼女は「探偵倶楽部」に真相解明を依頼。調査が進むにつれ、孝三の死の背後に隠された衝撃の事実が明らかになっていく。


第3篇:依頼人の娘
高校生の美幸がテニス部の練習から帰宅すると、家には制服警官が立ち、自宅の2階では母親が血まみれの死体となって発見される。警察は事件を追及するが、美幸は家族の様子がおかしいことに気づき、父親の手帳に記されていた「探偵倶楽部」に調査を依頼する。


第4篇:探偵の使い方
阿部芙美子は夫・佐智男の浮気を疑い、「探偵倶楽部」に調査を依頼。浮気相手が親友の真鍋秋子だと知った芙美子は、その事実を秋子の夫・公一に打ち明ける。やがて夫・佐智男と秋子の死が発覚する。警察は自殺と判断したが、二階堂匠は事件の裏に隠された意外な真実を暴いていく。


第5篇:薔薇とナイフ
和英大学の教授・大原泰三は、次女・由理子が妊娠したことを知る。相手を突き止めようとするが、由理子は何も語らない。その矢先、長女の直子が妹の部屋で殺害される。泰三は「探偵倶楽部」に調査を依頼するが、事件の背後に隠された真実は誰もが予想しなかったものだった。


華麗な舞台裏で起こる複雑な人間模様と衝撃的な真相。「探偵倶楽部」が次々と謎を解明する中、事件の真実と登場人物たちの哀しい運命が浮き彫りにされる珠玉の推理短編集。

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