東野圭吾 著 『宿命』って どんな本?

東野圭吾『宿命』 小説

『宿命』(しゅくめい)は、1990年に発表された東野圭吾のミステリー小説である。高校時代から宿敵同士だった主人公・和倉勇作と瓜生晃彦の因縁が、10年後に殺人事件をきっかけとして再び交錯する。警察官となった勇作と、医師として成功を収めた晃彦。それぞれ異なる道を歩んでいた二人が、過去の秘密や一族に隠された真実を巡り、複雑に絡み合う運命に向き合う物語である。

本作では、事件の謎解きとともに、人間関係の奥深さや感情の揺れ動きが緻密に描かれている。特に、主人公たちの間に横たわる「宿命」というテーマが物語全体を通して読者を惹きつける。2004年にはWOWOWでテレビドラマ化され、多くの視聴者を魅了した。緊張感あふれる展開と感動的な結末が特徴の、東野圭吾の代表作の一つである。

東野圭吾『宿命』

『宿命』

(講談社文庫)

1990年 6月 発売

高校時代、和倉勇作と瓜生晃彦は、互いに意識し合う存在だった。勉強でもスポーツでも秀でた才能を発揮する晃彦に対し、勇作は勝てないことへの悔しさを抱えていた。そんな中、勇作は初恋の女性・美佐子と交際するが、思わぬ事情で彼女と別れることになる。以降、勇作は苦しい青春を経て警察官の道を選び、晃彦は医師となって別々の人生を歩んだ。

それから10年後、勇作が担当する殺人事件で、容疑者として浮かび上がったのは瓜生晃彦だった。さらに驚くことに、美佐子は晃彦と結婚し、瓜生家の一員となっていた。事件の被害者は、大手電機メーカーUR電産の社長・須貝正清。真仙寺の墓所で毒矢により命を奪われた。凶器のボウガンと毒矢は、晃彦の父でUR電産前社長だった瓜生直明の遺品だったため、捜査は一族内に焦点を絞って進む。

勇作は再び晃彦と対峙することで、学生時代の因縁が蘇る。捜査が進む中で、瓜生家には隠された秘密があることが浮き彫りになり、事件は過去の出来事と深く結びついていることが判明する。晃彦の医師としての立場や美佐子との関係が絡む中、勇作は真実を追い求める。

そして事件の真相とともに、勇作と晃彦の宿命も明らかになる。互いに避けられない運命を背負う二人が、宿命にどう立ち向かうのか。事件の結末と彼らの関係が交錯する中、意外で感動的なラストが待ち受けている。

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