『流星の絆』とは
『流星の絆』は、東野圭吾による推理小説で、2006年から2007年にかけて『週刊現代』で連載された後、2008年に講談社から単行本が刊行されました。幼少期に両親を惨殺された三兄妹が、時効が迫る14年後に復讐を果たすまでの過程を描いたサスペンス作品で、復讐や詐欺を軸に、兄妹の絆や恋愛、真相解明への葛藤が描かれています。刊行当時、東野圭吾作品として最速で25万部を突破したと報じられ、2008年にはTBS系でテレビドラマ化されました。また、第43回書店新風賞を受賞し、2009年には「本屋大賞」にノミネートされ、第9位に選ばれるなど高い評価を受けています。ドラマ化の影響もありロングセラーとなり、累計発行部数は65万部を超える人気作となりました。
本作は、東野圭吾自身が「登場人物に書かされた」と語るほど、キャラクターたちの内面や行動が物語を動かしていく点が特徴です。復讐計画が進む中で生まれる予想外の展開や、衝撃的なラストが読者を魅了する傑作です。
『流星の絆』の あらすじ
洋食店「アリアケ」を営む有明家の三兄妹、功一、泰輔、静奈は、夜中に流星群を観に出掛けるため家を抜け出していました。しかし帰宅すると、家の中では両親が何者かに刃物で惨殺されており、三人は突如として両親を失う悲劇に見舞われます。その後、身寄りのない彼らは養護施設で育てられ、成長しますが、世間の厳しさや詐欺被害に苦しむ日々を送る中で、生き抜くために裕福な男性を詐欺で騙すという手段を選ぶようになります。功一は情報収集、泰輔は変装、静奈は美貌というそれぞれの特技を活かし、見事な連携で次々と詐欺を成功させていきます。
事件から14年が経過し、両親を惨殺した犯人は未だ捕まらず、時効が迫っていました。そんな中、三兄妹は最後の詐欺ターゲットとして、洋食チェーン「とがみ亭」の御曹司、戸神行成を選びます。しかし行成に近づいた静奈は、行成の父である戸神政行が、両親を殺害した夜に家から出てきた人物と酷似していることに気付きます。また、「とがみ亭」のハヤシライスの味が両親の店「アリアケ」のものと同じであることから、政行が両親を殺害し、レシピを盗んだと確信します。
三兄妹は政行を罠にかけ、復讐を果たす計画を練りますが、計画は妹・静奈の恋心によって大きな誤算を生じます。静奈は、仇の息子である行成に心を惹かれ、彼を騙し続けることに葛藤を覚えるようになります。一方、功一と泰輔は復讐のため計画を進める中で、政行の罪を証明しようと奮闘します。やがて、静奈の恋心が計画に影響を及ぼし、さらに行成もまた、自身の父が犯人である可能性に気付き始めます。複雑な人間関係と意外な展開を経て、三兄妹が辿り着く真実とは――。
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