東野圭吾 著 『パラレルワールド・ラブストーリー』って どんな本?

東野圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』 小説

『パラレルワールド・ラブストーリー』は、東野圭吾によるミステリー小説で、のちに映画化もされた話題作です。1995年に中央公論社から単行本が刊行され、1998年には講談社文庫として文庫化されました。発行部数は累計110万部を超え、読者を魅了する名作となっています。

物語は「現実」と「記憶」の境界が曖昧になる中で展開され、主人公・敦賀崇史が、親友の恋人である津野麻由子との複雑な関係に翻弄される姿を描きます。彼の記憶と現実が交錯し、二つの並行する世界が明らかになる中、隠された真実が次第に解き明かされていきます。

緻密なプロット、意外な展開、そして人間心理への鋭い洞察によって描かれる本作は、恋愛と友情がテーマでありながら、東野圭吾ならではのスリリングなミステリー要素も存分に楽しめます。現実とは何か、そして本当の愛とは何かを問いかける珠玉の一作です。

東野圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』

『パラレルワールド・ラブストーリー』

(講談社文庫)

1995年 2月 発売

敦賀崇史は大学院に通う日々、山手線から見える京浜東北線に乗る女性に恋をしていた。その女性は毎週火曜日、同じ時間、同じ車両に現れる。ある日、就職を控えた最後の火曜日に思い切って声をかけようと決意した崇史だったが、その日、彼女は京浜東北線ではなく、自分が乗っていた山手線にいた。その後、崇史は彼女を見失い、それ以来二度と彼女に会うことはなかった。

就職後、崇史には中学時代からの親友・三輪智彦がいた。智彦は片足が不自由なため、内向的な性格だったが、ある日「恋人を紹介したい」と崇史に告げる。初めての彼女を祝福しようとする崇史だったが、紹介された津野麻由子を見て驚愕する。彼女はあの電車で出会った女性だったのだ。崇史は親友の恋を祝福しつつも、嫉妬心と未練に苦しむ。

そんな中、ある日目を覚ますと、麻由子は自分の恋人になっていた。彼女が隣にいることをまったく疑問に感じない自分に戸惑う崇史。記憶を遡ると、智彦が麻由子を崇史に紹介し、それがきっかけで二人が付き合い始めたという筋書きになっている。しかし、崇史は自分の記憶に違和感を覚え始める。親友である智彦の所在を何ヶ月も気にしていないことが不自然だと気づき、智彦との出来事を思い返そうとする。

現実と記憶の齟齬に苦しむ崇史は、どちらが本当の現実なのか確かめるため、智彦の行方を探り始める。だが、記憶を辿れば辿るほど、二つの異なる世界が交差し、崇史はますます混乱していく。一方では親友の恋人であった麻由子が、もう一方では自分の恋人となっている。二つの現実の間で揺れ動き、崇史は「本当の過去」を取り戻そうとする。

物語が進むにつれ、現実の真実と隠された秘密が徐々に明らかになり、驚愕の展開が訪れる。記憶の錯綜と友情、恋愛が交錯する中で、崇史はどのような結末を迎えるのか――。

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