『名探偵の呪縛』とは
『名探偵の呪縛』は、1996年に東野圭吾によって刊行された推理小説で、天下一大五郎シリーズの第2作にあたる。前作『名探偵の掟』が連作短編形式でミステリーの「お約束」をユーモアたっぷりに描いたのに対し、本作では一転して長編形式の物語となり、より深く練り込まれた謎解きが楽しめる構成となっている。
物語は、小説家である「私」が図書館で調べものをしている最中、見知らぬ街に迷い込むことから始まる。その街では「本格推理」という概念が存在せず、住民たちはミステリーの基本すら知らない。この奇妙な街で、「私」は探偵・天下一大五郎として迎えられ、次々に発生する密室殺人やトリックを駆使した事件に挑むこととなる。
シリーズ特有のユーモアを交えながらも、街の正体や背後に隠された「呪縛」の真実が明らかになるにつれ、読者は本格ミステリーの奥深さと新たな魅力に引き込まれるだろう。
『名探偵の呪縛』の あらすじ
小説家である「私」は、ある日調べもののために訪れた図書館で迷子になる。そして、気づけば「私」は見知らぬ街に迷い込んでいた。その街で出会った少女・ミドリから「探偵の天下一大五郎」として迎えられた「私」は、戸惑いながらも街の市長と面会することに。
市長からの依頼は、街の中心にある聖者記念館から盗まれた「ある物」を取り戻すことだった。この街は「歴史を持たない」という奇妙な特徴を持っており、盗まれた物はその起源を解き明かす重要な鍵になるかもしれないというのだ。
調査を進めるうち、「私」は記念館保存委員会のメンバーに接触するが、その中の一人である水島雄一郎が密室で殺害されるという事件が発生する。この街では「本格推理」という概念が存在せず、密室での死はただの自殺として片付けられそうになっていた。しかし、「私」こと「天下一」は密室トリックを解明し、犯人を突き止めるとともに、この事件が盗掘物と密接に関係していると推理する。
次々と起こる怪事件を追う中で、「私」はこの街の正体に徐々に気づいていく。この街は一体何者によって作られたのか? その目的とは何なのか? そして、街に隠された呪いとは?
『名探偵の掟』でユーモラスに描かれた名探偵天下一大五郎が、本格的な長編ミステリーで再び登場。不可解な世界で繰り広げられる奇妙な事件の連続に、「私」はどう立ち向かうのか? その結末には誰もが驚かされることだろう。
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