東野圭吾 著 『真夏の方程式』って どんな本? ガリレオ シリーズ6作目!

東野圭吾『真夏の方程式』 小説

『真夏の方程式』は、東野圭吾によるガリレオシリーズ第6弾であり、シリーズ3作目の長編作品である。2010年から『週刊文春』に連載され、2011年6月に文藝春秋から刊行された。2013年には映画化され、シリーズの劇場版第2作として公開された。

本作の舞台は、美しい海と豊かな自然を誇る玻璃ヶ浦(はりがうら)。物語は、この地にある旅館「緑岩荘」で発生した一人の男の変死事件を中心に展開する。被害者は元刑事であり、その死が16年前の未解決事件と深い関わりを持っていることが次第に明らかになる。事件を通じて浮き彫りになる「科学技術と環境保護」というテーマは、湯川学と環境活動家たちとの対立を描く中で深く掘り下げられている。また、本作ではこれまで苦手としてきた少年・恭平との交流を通じ、湯川の新たな一面が描かれる。さらに、湯川が自発的に事件の真相を追う姿勢がこれまでのシリーズ作品とは一線を画しており、独特の雰囲気を持つ作品となっている。

東野圭吾『真夏の方程式』

『真夏の方程式』

(文春文庫)

2011年 6月 発売

夏休みのある日、小学5年生の柄崎恭平は、親戚が経営する玻璃ヶ浦の旅館「緑岩荘」で休暇を過ごすため、一人で電車に乗ってこの町を訪れた。偶然にも同じ電車に乗り合わせたのは、帝都大学物理学准教授の湯川学だった。湯川は、海底鉱物資源開発の説明会に科学顧問として参加するために玻璃ヶ浦へ向かっていた。湯川の気まぐれで恭平の宿泊先である「緑岩荘」に滞在することとなる。

その夜、宿泊客の一人である塚原正次が失踪し、翌朝、海辺で変死体として発見される。元刑事だった塚原の死因は一酸化炭素中毒。現場検証では事故死の線が濃厚とされたが、湯川は塚原の死が単純な事故ではないと直感する。さらに、塚原が16年前に担当した元ホステス殺人事件が、この町や旅館に深く関わっていることが浮上する。

湯川の協力を得た警察の捜査が進む中、緑岩荘を営む川畑家が隠していた重大な秘密が明らかになっていく。それは、家族の絆を守るために一人の人物が背負った重い十字架だった。そして、事件に潜む真相が暴かれたとき、湯川は科学者としての冷徹な視点と、人間としての温かさの間で揺れ動く。

湯川が導き出した真夏の方程式。その答えが意味するものとは──玻璃ヶ浦の美しい風景の中で展開される、科学と人間ドラマが交錯する感動的なミステリー。

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