東野圭吾 著 『クスノキの番人』って どんな本?

東野圭吾『クスノキの番人』 小説

『クスノキの番人』は、東野圭吾が2020年3月17日に実業之日本社から刊行した長編小説で、『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く新たなエンターテインメント作品として位置づけられています。

主人公は、不当解雇を理由に罪を犯してしまった青年・直井玲斗。社会とのつながりを失い、起訴を待つ身となった彼のもとに突然現れた弁護士は、ある依頼人の命令を聞けば釈放されると告げます。依頼人とは、玲斗の亡き母の異母姉・柳澤千舟。彼女が玲斗に課した役目は、願いが叶うと言い伝えられる「クスノキ」の番人になることでした。

小さな神社にそびえる古いクスノキは、不思議な力を宿す存在として知られ、満月と新月の夜には「祈念」のため訪れる人々を見守る役目が求められます。しかし、「祈念」の本当の意味は千舟から語られることなく、玲斗は戸惑いながらも番人としての役割を果たしていきます。

玲斗は無鉄砲で社会常識を持たない青年でしたが、厳しくも愛情深い千舟の指導を受け、人との交流を重ねる中で成長していきます。訪れる人々の願いや祈りに触れることで、玲斗自身もまた人生の意味や希望を見出していくのです。

本作は、人間ドラマと成長物語を主軸に、クスノキをめぐる様々な人々の人生と想いが交錯する心温まるファンタジー小説。東野圭吾ファンのみならず、温かな人間関係や自己成長に心を動かされたい読者にも楽しめる一冊です。

東野圭吾『クスノキの番人』

『クスノキの番人』

(実業之日本社文庫)

2020年 3月 発売

直井玲斗は、お客様に欠陥商品の情報を漏らしたとして、突然会社を解雇されます。退職金も支払われないことに憤慨した彼は、腹いせに高価な機械を盗もうと試みますが、結局は警察に逮捕されてしまいました。送検を待つ身となった玲斗のもとに突然現れた弁護士が、ある依頼人の命令を聞けば釈放されると提案。悩んだ末、玲斗はその話に乗ることにします。

釈放された玲斗が向かった先で出会ったのは、柳澤千舟という女性。彼女は玲斗の亡き母の異母姉であり、自らの財産を使って示談を成立させ、玲斗を救った人物でした。その代償として彼女が玲斗に課したのは、神社の御神木である「クスノキ」の番人になること。このクスノキには「その木に祈れば、願いが叶う」という言い伝えがあり、千舟はその力に特別な思いを抱いていました。

初めは渋々ながらも番人の役目を引き受けた玲斗。しかし、クスノキを訪れる様々な人々との交流を通じて、彼は彼らが抱える苦悩や願いを理解し、次第にその役割に使命感を覚えるようになります。そして、千舟がなぜ自分にこの役目を託したのかという隠された真意と、クスノキに秘められた不思議な力が明らかになっていきます。

玲斗の成長と、クスノキをめぐる人々の願いが織り成す感動の物語が、人生の希望と愛の意味を問いかけます。

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