『仮面山荘殺人事件』とは
『仮面山荘殺人事件』は、東野圭吾による長編推理小説。1990年12月に徳間書店からトクマ・ノベルズとして刊行され、1995年3月には講談社文庫から文庫版が発売された。
本作は、密室状態の山荘を舞台に、極限の心理状況下で繰り広げられるミステリーです。婚約者を失った主人公が訪れた山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入。外部との連絡が絶たれ、恐怖と緊張が渦巻く中、山荘内で殺人事件が発生します。状況から考えて犯人は強盗ではなく、山荘に集まったメンバーの中にいる可能性が高い――。
東野圭吾ならではの巧妙なトリックと、緻密に描かれた人間関係が物語を一層引き立てる一冊です。疑心暗鬼に陥った登場人物たちと共に、読者もまた真相を探りながら、驚きの結末へと誘われます。
『仮面山荘殺人事件』の あらすじ
『仮面山荘殺人事件』は、閉ざされた山荘を舞台にした極限の心理劇です。
婚約者・森崎朋美を事故で失い、悲しみに暮れるビデオ制作会社の社長・樫間高之。朋美の父・森崎伸彦の誘いで、彼は森崎家の別荘に滞在することになります。この山荘には、高之のほか、朋美の家族や親しい人々――伸彦の妻・厚子、朋美の兄・利明、朋美の従姉妹・篠雪絵、森崎家の主治医である木戸、朋美の親友・阿川桂子、秘書の下條令子らが集まっていました。
静かな追悼の場となるはずの滞在は、逃走中の銀行強盗二人組が山荘に侵入したことで一変します。外部との連絡手段を絶たれたまま監禁された八人は、恐怖と緊張に支配されながらも、脱出を試みます。しかし、彼らの計画はことごとく失敗。さらに追い詰められる中で、ある恐ろしい事件が発生します。篠雪絵がナイフで刺され、遺体となって発見されたのです。
一見すると銀行強盗による犯行に見えたものの、犯人が山荘内の住人である可能性が浮上。やがて、銀行強盗の一人が「全員を殺す」と告げ、事態はさらなる混迷を極めます。疑心暗鬼が募る中、残された七人はそれぞれが隠された秘密を抱えていることが明らかになり、次第に事件の裏に潜む真実が浮かび上がってきます。
誰が味方で、誰が裏切者なのか。そして、婚約者・朋美の死には何か別の理由があったのか――。絶望的な状況で紡がれる人間模様と、思いも寄らぬどんでん返しの結末が読者を圧倒する、東野圭吾の傑作推理小説です。
コメント