東野圭吾 著 『架空犯』って どんな本?

東野圭吾『架空犯』 小説

『架空犯』は、東野圭吾による長編ミステリ小説であり、2024年11月1日に幻冬舎から刊行された作品である。本作は『白鳥とコウモリ』に続き、警視庁捜査一課の五代努刑事が再び難事件に挑む。都内の高級住宅地で発生した放火事件は、一見無理心中に見えたが、やがて計画的な殺人である可能性が浮上する。さらに、被害者夫婦が関与していた「非人道的行為」を巡る脅迫状が届き、事件はより複雑な様相を呈していく。

被害者は、都議会議員・藤堂康幸とその妻で元女優の藤堂江利子。夫妻は誰もが羨む華やかな人生を送っていたが、その裏には誰にも知られたくない秘密があった。五代と所轄の刑事・山尾陽介が捜査を進めるにつれ、藤堂夫妻の知られざる過去が次第に明らかになっていく。犯人が仕掛ける巧妙な偽装工作、そして突如として届いた犯行声明と脅迫状――「藤堂夫妻の非人道的行為を証明する証拠を3億円で買い取れ」という要求に警察はどう対応するのか?

本作では、東野圭吾が得意とするサスペンスと心理戦が繰り広げられ、単なる殺人事件ではない「社会的な影響を持つ犯罪」の構造が明かされていく。果たして五代刑事は、事件の真相にたどり着くことができるのか?そして、架空の犯人とは一体何者なのか?東野圭吾の最新ミステリが、読者を息をのむ結末へと導く。

東野圭吾『架空犯』

『架空犯』

(幻冬舎)

2024年 11月 発売

都内の高級住宅地で、深夜に大規模な火災が発生した。焼け落ちた屋敷の中から二人の遺体が発見される。一人は都議会議員の藤堂康幸、もう一人はその妻で元女優の藤堂江利子だった。遺体の状態から、当初は妻が夫を殺害し、その後自殺を図った無理心中と見られた。しかし、鑑識の結果、江利子にも他殺の痕跡があることが判明し、事件は一転して殺人事件として捜査が進められることとなる。

事件の捜査を担当するのは、警視庁捜査一課の五代努刑事と、所轄署の生活安全課に所属する山尾陽介刑事だった。五代と山尾は、被害者夫妻の知人や関係者への聞き込みを開始し、彼らが生前、何らかのトラブルに巻き込まれていた可能性を探る。しかし、表向きは穏やかで幸福な生活を送っていたはずの藤堂夫妻には、明らかに敵がいそうには見えなかった。

そんな中、事態は急変する。藤堂康幸の事務所に、一通の犯行声明が届いたのだ。

「藤堂夫妻の非人道的行為に制裁を加えた。夫妻の非道を証明する証拠を公開されたくなければ、3億円で買い取れ。」

犯人は、自らが夫妻を殺害したことを認めながらも、無理心中に見せかけた偽装工作を施していた。しかし、その偽装工作は稚拙で、すぐに見破られるようなものだった。なぜ犯人はこのような矛盾した行動を取ったのか?

さらに驚くべきことに、今度は藤堂夫妻の娘・榎並香織のスマートフォンに、新たな脅迫メールが届く。

「このメールは藤堂康幸のタブレットから送信している。このタブレットを3千万円で買い取れ。」

このメールから、事件現場から消えた藤堂康幸のタブレット端末が、犯人の手に渡っていることが明らかになる。そして、タブレットの中には夫妻の「非人道的行為」を証明する何かが含まれている可能性が高まった。

犯人の行動は次第に不可解なものとなっていく。一方では「制裁」と称して夫妻を殺害し、一方では証拠を金で売ろうとする――。果たして、犯人の真の狙いは何なのか?

五代は、犯人の要求に矛盾を感じながらも、事件の核心へと迫っていく。夫妻の過去を洗い直すうちに、意外な事実が浮かび上がる。藤堂康幸と江利子は、実は表向きの成功とは裏腹に、ある秘密を抱えていたのだ。

事件の鍵を握るのは、「架空の犯人」の存在だった。本当に殺人を犯したのは誰なのか?3億円の要求とタブレットを巡る駆け引きの果てに、五代刑事が暴き出した衝撃の真実とは?

コメント

タイトルとURLをコピーしました