東野圭吾 著 『白銀ジャック』って どんな本?

東野圭吾『白銀ジャック』 小説

『白銀ジャック』は、東野圭吾による長編サスペンス小説。実業之日本社の月刊誌『月刊ジェイ・ノベル』に2008年10月号から2010年9月号まで連載され、2010年10月に実業之日本社文庫創刊第1弾として刊行された。発売直後から話題となり、1か月で100万部を突破。翌年、単行本化され、2013年には高柳衣良によるコミック版が刊行された。また、2014年にはテレビ朝日系でテレビドラマ化され、多くの視聴者を魅了した。

物語の舞台は、新月高原スキー場。平和で美しい雪景色の中で突如発生した「ゲレンデ爆破予告事件」がスキー場全体を恐怖に陥れる。犯人の目的は金銭か、あるいは復讐か。スキー場運営の索道部マネージャー・倉田玲司とパトロール隊員たちが、スキー場を守るために奔走する中で、事件の背後には1年前の悲劇的な事故が深く関わっていることが明らかになる。

白銀の世界で繰り広げられる息詰まる心理戦と、人間関係の奥深さを描いた本作は、東野圭吾の持つ緻密なプロットとスリリングな展開が際立つ一作である。

東野圭吾『白銀ジャック』

『白銀ジャック』

(実業之日本社文庫)

2010年 1月 発売


新月高原スキー場では1年前、スノーボーダーと接触したスキー客が命を落とす事故が発生した。その悲劇を忘れないうちに、年の瀬のスキー場に「ゲレンデに爆弾を仕掛けた」とする脅迫状が届く。犯人は3000万円を要求し、指定された場所に現金を用意しない場合、爆弾を爆発させると脅してきた。索道部マネージャーの倉田玲司は警察に通報するべきだと主張するが、経営陣は風評被害を恐れ、内密に対応することを決定する。


スキー場側は犯人の要求に応じ、最初の3000万円を用意して指定場所に届けた。しかし、犯人は具体的な爆弾の場所を教えず、さらなる3000万円を要求。これによりスキー場側は一層追い詰められる。二度目の現金引き渡しの際、パトロール隊員の根津昇平は秘密裏に犯人の手がかりを掴もうと行動するが、犯人を捕まえることはできず、さらに多額の現金を奪われる結果となった。


事件が進む中、根津はある人物に疑念を抱く。それは、1年前の事故で妻を亡くした入江義之であった。入江は息子とともにスキー場を訪れていたが、脅迫事件が発生した時期と彼の訪問が一致していたため、彼が復讐のために事件を起こしたのではないかと考えた。三度目の金銭要求の後、入江親子が行方不明となり、事件はさらに緊迫した状況に陥る。


脅迫事件の背後には、スキー場運営会社が1年前の事故に絡む採算の取れないエリアを切り捨てるために仕組んだ陰謀が隠されていた。この真相が明らかになる中、倉田たちは犯人を追い詰めるべく、雪の中での決死の行動に出る。果たして、事件の真相と1年前の悲劇の真実とは何なのか。そして、白銀のゲレンデに平和を取り戻すことはできるのか。

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