東野圭吾 著 『白鳥とコウモリ』って どんな本?

東野圭吾『白鳥とコウモリ』 小説

『白鳥とコウモリ』は東野圭吾による長編推理小説で、2021年4月に幻冬舎から刊行されました。本作は、2017年から2021年まで『小説幻冬』で連載された7編を加筆修正し、長編として再編成した作品です。2024年4月には上下巻に分冊のうえ、幻冬舎文庫版が刊行され、多くの読者に親しまれています。

物語は、善良な弁護士・白石健介の殺人事件を起点に進行します。容疑者として浮かび上がったのは倉木達郎という男性。彼は33年前に愛知県岡崎市で発生した未解決の金融業者殺人事件についても自供します。しかし、白石健介の娘・美令と倉木達郎の息子・和真は、互いの父親に対する疑念を抱き、独自に真相を追い始めます。

現代の東京と、過去の愛知で起きた事件が交錯し、二つの「告白」が新たな謎を呼び起こす展開は、読者を最後まで惹きつけます。東野圭吾の真骨頂ともいえる、複雑な人間ドラマと緻密なトリックが織り成す本作は、読後に深い余韻を残す傑作です。

東野圭吾『白鳥とコウモリ』

『白鳥とコウモリ(上)(下)』

(幻冬舎文庫)

2021年 4月 発売

2017年11月、東京・港区で一人の弁護士、白石健介が刺殺体で発見される。事件を担当する警視庁の五代努刑事は、捜査の過程で倉木達郎という男にたどり着く。倉木は白石殺害の容疑者として浮上しただけでなく、33年前に愛知県岡崎市で起きた金融業者殺害事件についても自供。これにより事件は一見、解決したかに見えた。

しかし、白石の娘である美令と、倉木の息子である和真は、それぞれの父親について疑念を抱く。美令は白石の死に隠された動機に、和真は父・達郎の不可解な自供の裏に潜む真実に疑問を感じる。二人は別々に調査を始めるが、偶然出会ったことで協力するようになる。

捜査を進める中で浮かび上がるのは、倉木の自供を覆す数々の証拠と、二つの事件を繋ぐ意外な糸。父親たちの背負う罪と、それを隠そうとする理由を探る中で、二人は信じられない真実にたどり着く。真実を追い求める美令と和真の行動は、世代を超えた父と子の愛憎を浮き彫りにし、最後には予想もつかない結末へと読者を導く。

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