『白馬山荘殺人事件』とは
東野圭吾の推理小説『白馬山荘殺人事件』は、1986年に光文社からカッパ・ノベルス版として刊行され、1990年4月20日に文庫版が発売されました。本作は、東野圭吾がそれまでの学園小説から新たなジャンルへと挑戦した作品として評価されています。
文芸評論家の間では、本作が東野作品のターニングポイントであり、後の本格ミステリー路線への飛躍を象徴する重要な一作とされています。複雑な密室トリックと、マザー・グースの暗号を絡めた巧妙なストーリー展開が特徴で、東野圭吾初期の傑作ミステリーとして名高い作品です。
『白馬山荘殺人事件』の あらすじ
「マリア様が家に帰るのはいつか」という謎めいた言葉を残し、信州白馬のペンション『まざあ・ぐうす』で密室状態の中、毒物により亡くなった原公一。警察は彼がノイローゼ気味だったことから自殺と判断したが、妹の菜穂子は兄の死に疑問を抱く。兄の最後の言葉と、死の直前の様子がどうしても納得できなかったのだ。
菜穂子は親友の真琴とともに兄が亡くなったペンション『まざあ・ぐうす』を訪れ、真相を探る決意をする。奇しくもその日、ペンションには一年前に兄が宿泊した時と同じ常連客たちが集まっていた。菜穂子たちはマザー・グースの歌詞に兄が執着していたことを知り、歌詞に隠された謎と事件の関連性を探り始める。
さらに、兄が亡くなる前年にもこのペンションで不審死があったことが判明。そして捜査を進める中、新たな悲劇が発生。常連客の一人が石橋から転落死を遂げたのだ。密室トリックとマザー・グースの暗号が複雑に絡み合うこの事件は、次第に驚愕の真相へと繋がっていく。
東野圭吾初期の傑作ミステリーが織り成す、緊張感あふれる推理劇。
コメント