『ガリレオの苦悩』とは
『ガリレオの苦悩』は、東野圭吾によるガリレオシリーズ第4弾の推理短編小説集です。2008年10月25日に『聖女の救済』と同時刊行され、2011年に文庫版が発売されました。本作では、テレビドラマ『ガリレオ』の企画から誕生した内海薫刑事が初登場し、湯川学とのコンビが新たな事件に挑みます。物語は5編で構成され、物理学の視点から解き明かされる不可解な事件が展開されます。
本作には「落下る」「操縦る」「密室る」「指標す」「攪乱す」の5編が収録されています。これらの物語では、マンションのベランダからの不審な転落死、密室状態の火災現場での刺殺事件、宿泊客の転落死にまつわるペンションでの密室トリック、ダウジングで解き明かされる資産家老女の殺人事件、そして“悪魔の手”と名乗る者が仕掛ける連続殺人の脅迫状など、湯川が遭遇する謎は多種多様です。
内海刑事と湯川の関係性の深化や、新たな科学トリックの数々が読者を魅了する一冊。ガリレオシリーズならではの緻密な推理と、科学的な解説が融合した東野圭吾の傑作短編集です。
『ガリレオの苦悩』の あらすじ
第1章:落下る(おちる)
マンションのベランダから女性が転落死しました。警察は自殺を疑うものの、現場には不倫相手と思われる男性が訪れていた痕跡がありました。その男性には転落死の瞬間、マンションの下で目撃されるアリバイがありましたが、内海刑事は不審を抱きます。遠隔で転落を誘発した可能性を調査するため、湯川に協力を依頼します。
第2章:操縦る(あやつる)
元助教授の友永が招いた教え子たちとの宴の最中、離れ家で火災が発生。焼け跡から友永の息子の刺殺体が発見されます。密室の火災現場に潜む意外なトリックを湯川が解き明かしていきます。
第3章:密室る(とじる)
湯川の友人が経営するペンションで宿泊客が転落死しました。事故直前、部屋の鍵が掛かっていたにもかかわらず、被害者は部屋に現れるという不可解な状況が確認されます。密室で起きた事件の謎を湯川が解決しますが、その過程で友人との友情が試されます。
第4章:指標す(しめす)
資産家の老女が自宅で殺害され、金の地金が盗まれました。その家の番犬も行方不明となり、捜査は難航します。老女の訪問者だった女性が容疑者として浮上しますが、娘がダウジングで番犬の死体を発見したことが事件の鍵となります。湯川はその超常現象の謎を科学的に解き明かします。
第5章:攪乱す(みだす)
“悪魔の手”と名乗る者から、警視庁に怪文書が届きます。湯川を挑発する内容で、湯川自身にも脅迫状が届きます。常識を超えた殺人トリックで警察を攪乱する犯人に対し、湯川は冷静な推理で真相に迫ります。
本作では、科学トリックを駆使した事件と湯川の天才的な推理が読者を魅了。湯川と内海のやり取りも見どころのひとつで、読み応えのあるミステリー短編集です。
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