『学生街の殺人』とは
『学生街の殺人』は、東野圭吾による本格推理小説で、1987年6月24日に講談社から刊行され、1990年7月15日に講談社文庫版が発売されました。本作は、東野が初期に手掛けた意欲作であり、第8回吉川英治文学新人賞と第41回日本推理作家協会賞の候補にも挙がりました。
しかし、刊行当時は期待に反して売れ行きが悪く、東野自身が「大作だから話題になり売れるかもしれない」と思ったものの、結果は芳しくありませんでした。彼は少しでも売れているように見せかけるため、東京中の書店を巡り自ら2冊ずつ購入したと語っています。
それでも本作は、連続殺人と密室トリック、さらに人間心理の闇を描いた巧妙なストーリーが高く評価され、後に東野圭吾の初期代表作の一つとして位置づけられるようになりました。
『学生街の殺人』の あらすじ
かつて大学生で賑わっていた学生街。しかし、新たに駅ができた影響で人が離れ、活気を失いつつあるその街に、津村光平は大学卒業後も留まっていた。そんな彼がアルバイトとして働くビリヤード場で、知人の松木が何者かに殺害される。事件直前、松木は「俺はこの街が嫌いなんだ」という謎めいた言葉を残していた。
松木の死に続き、第2の殺人事件が発生。それは密室状態で起こり、被害者は光平の恋人であった広美だった。広美の死を機に、光平と広美の妹・悦子は、彼女が密かに通っていた身障児施設を調査する。やがて施設の園長が第3の犠牲者となり、事件はますます混迷を深めていく。
次々と起こる奇怪な連続殺人と密室トリック。そこに隠された人間心理の闇とは何なのか。光平は事件の謎を解き明かし、真実にたどり着くことができるのか――。東野圭吾が描く、複雑な人間関係と緊迫感あふれる本格ミステリー。
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