東野圭吾　著　『ダイイング・アイ』って　どんな本？

『ダイイング・アイ』とは

『ダイイング・アイ』は、東野圭吾によるハードサスペンス小説で、1998年から1999年にかけて『小説宝石』で連載され、2007年に単行本として刊行されました。交通事故の加害者側の無責任さをテーマに描かれた本作は、巧妙なストーリーテリングと緊迫感あふれる展開で、東野圭吾作品の中でも異彩を放っています。2011年には文庫化され、2019年にはWOWOWでテレビドラマ化されました。

物語は、バーテンダーとして働く雨村慎介が何者かに襲われ、頭部に重傷を負ったことから始まります。その犯人は、慎介が1年半前に起こした交通事故で命を落とした女性の夫、岸中玲二でした。襲撃によって交通事故の記憶を失った慎介は、事件の真相を探ろうとしますが、その過程で彼の周囲に不穏な動きが見られるようになります。さらに、妖しい魅力を持つ謎の女性・瑠璃子が現れ、慎介を翻弄していきます。

過去と現在が交錯する中で、事件の背後に潜む秘密とは何か。緊張感のあるストーリーと幻想的な雰囲気が織り成す、読む者を惹きつけてやまないミステリーです。

『ダイイング・アイ』の　あらすじ

雨村慎介は、仕事帰りに何者かに背後から襲われ、頭部に重傷を負います。犯人は、1年半前に交通事故で命を落とした岸中美菜絵の夫、岸中玲二でした。玲二は復讐を遂げた後、自ら命を絶ちます。しかし、慎介はこの襲撃によって交通事故に関する記憶を失ってしまいます。事故当時、自分が加害者だったことや執行猶予中であることすら覚えていない状況に、慎介は困惑します。

そんな中、慎介は事故の記憶を取り戻そうとしますが、周囲の人々はそれを阻もうとするかのような奇妙な態度を見せます。さらに、慎介の同棲相手である成美が突然姿を消し、彼の前には瑠璃子という謎めいた美女が現れます。彼女の妖しい魅力に引き込まれながらも、慎介は次第に恐ろしい真相に近づいていきます。

慎介は調査を進める中で、事故の背後にもう一人の加害者、木内春彦の存在を知ります。春彦は事故後に裕福な生活を送っており、同じ加害者でありながら慎介とは対照的な境遇にあることに疑念を抱きます。事故の真実を追い求める慎介がたどり着くのは、驚愕の事実と恐怖の結末。過去と現在が交錯する中、真実を前にした慎介は何を選択するのか――息をつかせぬ展開が待ち受けます。