東野圭吾 著 『超・殺人事件』って どんな本?

東野圭吾『超・殺人事件』 小説

『超・殺人事件 推理作家の苦悩』は、東野圭吾によるブラックユーモアたっぷりの短編小説集です。推理小説界を舞台に、作家や出版業界の裏側を鋭く風刺した8編が収録されています。2004年に新潮社から文庫版が刊行。2020年に角川文庫からも発売。その斬新な視点と痛烈なユーモアが話題を呼びました。

この作品集では、東野圭吾ならではのブラックジョークと鋭い洞察が光ります。推理小説ファンだけでなく、作家や出版業界に興味のある人にとっても楽しめる一冊。意表を突くトリックやユーモア、そして思わぬ結末が待ち受ける“危険”な作品集です。

東野圭吾『超・殺人事件』

『超・殺人事件』

(角川文庫)

2001年 6月 発売

超税金対策殺人事件

売れっ子作家となった主人公は、急激に増えた収入に伴い、税金の高さに頭を抱える。税理士の友人から「執筆経費を増やすために小説に経費項目を盛り込め」とアドバイスされ、旅行やエステ、ゴルフなどを物語に強引にねじ込んでいくが、次第に物語が破綻し始める。


超理系殺人事件

理系の自信を持つ中学校の理科教師が、本屋で『超理系殺人事件』という書物を手に取る。難解な専門用語に戸惑いつつも、理系のプライドから読み進めるが、次第に内容が奇怪さを増していき、現実と虚構が交錯していく。


超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)

大物推理作家の家に招かれた4人の編集者。作家は、渡された小説の犯人を当てることを編集者たちに課題とし、正解者に次作の出版権を与えると告げる。必死に謎解きに挑む編集者たちだが、事件は意外な展開を迎える。


超高齢化社会殺人事件

読書離れが進み、作家と読者の高齢化が進んだ日本。認知症を抱える作家が書いた破綻した小説を、やはり高齢化した読者が読むという状況に苦悩する編集者。しかし、彼自身もまた高齢化による問題を抱えていた。


超予告小説殺人事件

ある推理作家の小説に描かれた通りに、現実の世界で連続殺人事件が発生。作家のもとには犯人から電話がかかり、次の犯行方法を指定される。恐怖と興奮が入り混じる中、事件はどのような結末を迎えるのか。


超長編小説殺人事件

出版業界では長編小説がブームとなり、作家たちは原稿用紙数千枚の作品を求められる。編集者の要求に応じて物語を無理やり膨らませる作家の苦悩と、その末路をユーモアたっぷりに描く。


魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)

連載小説の最終回を執筆する推理作家。しかし、行き当たりばったりで進めてきたため、ラスト5枚で全ての伏線を回収する必要がある。苦悩しながらも執筆を続ける作家が迎える結末とは。


超読書機械殺人事件

書評に追われる書評家のもとに「ショヒョックス」という機械が届く。どんな小説でも即座に要約・感想・書評を生成できるこの機械により、出版業界は一変するが、やがてショヒョックスに隠された危険が浮かび上がる。


この短編集では、東野圭吾ならではのユーモアと社会風刺が見事に融合。推理小説界の舞台裏をコミカルかつ皮肉に描きながら、意表を突くトリックや深いテーマが散りばめられています。読者は笑いながらも、作家たちの苦悩や出版業界の現実に考えさせられることでしょう。

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